医療券の裏技! 日程を調整するだけで医療費負担がダウン!?

難病医療費助成や自立支援医療などで、月の医療費に上限があるという方は多くいらっしゃると思います。

毎月確実に上限を超える、あるいは超えないという方はいいのですが、我が家の場合、2ヶ月に1度、ギリギリで上限額を突破するという具合です。

このように「上限額を超えたり超えなかったり」という方の場合、「何月に受診するか」を調整することで、医療費を節約できる可能性があります

うまくいけば、本来タダにならない医療費がほとんどタダになるようなこともありますよ。

特に1ヶ月に複数回受診している方は要チェックです!

「月の上限○○円」ルール

医療費の助成では、月あたりの上限額が定められていることが多くあります。
たとえば「1ヶ月の自己負担額が上限1万円」といったルールです。

我が家では、SLEと、それに付随すると思われる双極性障害に対して「難病医療費助成」が適用されており、月の上限額は1万円です。

また、うつ病や双極性障害などに適用される「自立支援医療(精神通院医療)」でも、月の上限額が1万円という方が多いと思います。

「上限額管理票」で支払い履歴が分かる

以前の難病医療費助成は、上限額が病院ごとになっており、その代わり上限額はそれぞれの病院側で管理されていました。

ところが最近は「各病院・薬局を通算して上限1万円」とルールが変わったため、「上限額管理票」という手帳のようなものが交付されるようになりました。
受診のたびに患者がこれを呈示して、「今月はいくら払ったか」ということを病院や薬局の担当者に記入してもらいます
上限を超えたことが上限額管理票によって確認できた場合、病院や薬局からの請求がなくなります。

自立支援医療(精神通院医療)も同じ方式です。

上限額管理票は正直面倒なのですが、「今までにいくら払ったか」ということが明確なので、医療費のコントロールはしやすくなったといえます。

超える?超えない? ギリギリが悩ましい

「毎月確実に1万円を超える」、逆に「絶対1万円は超えない」というのであれば、何も頭を使うことはありません。

しかし我が家の場合、「規則正しく通院すれば、2ヶ月に1回、かろうじて1万円を超える」という状況です。

こうなると、通院日や薬局へ行く日を少しずらすだけで支払いが変わってくるという、悩ましいことになってきます。

その通院、1週延ばせば節約に?

身体にしろ精神にしろ、症状が安定してくると通院の間隔は次第に開いてきて、1週間程度なら患者の都合でずらせることも多くなってくると思います。

予約制の場合、診療の最後に「次回の診察はいつにしますか?」ということを決めると思いますが、ここでスケジュール帳ではなく医療券を見て、次回の診察日を決めてみよう!というのが本記事の主旨です。

どういうこと?と思った方、以下をお読みください。

上限額、超えなかったら意味がない

お持ちの医療券に上限額があるという方。
実際にその上限額を超えることはありますか?

もし「まず超えることはない」ということであれば、それは上限額の設定が無意味ということになります。

「上限額1万円に対し月の医療費が2千円です」ということならば、「医療費が安くていいですね」で終わりです。

しかし「上限額1万円に対し医療費が毎月9千円ぐらいで、毎月ギリギリ超えないんだよね」という方は、1ヶ月でもいいから上限額を超えるよう調整すると、医療費の節約になります

「1点集中」で上限額突破

では、「上限額を超えるよう調整」とは、具体的にどうすればいいのでしょうか?

 

たとえば2週に1回通院していて、1回の診療費+薬代が4000円という方の場合を考えます。

通常なら月2回通院ですから、月の医療費は8000円。
上限額1万円なら、通常の月は上限額に達しません。

 

しかし「11月1日、15日、29日」のように、時々は月に3回通院することも出てきます
この月の医療費は12000円となり、上限額を超えますね。

このような「通院の多い月」を、スケジュール調整で意図的に作り出せれば、上限額の恩恵を受けることができます

 

たとえば10月の通院日が「10月14日、28日」の2回だとします。
ここで「すみません、10月28日は都合が悪いので11月1日で…」と通院日をずらすと、10月の通院が1回になる一方、11月は3回通院となり、11月は上限額1万円を超えます。

つまり、ある月に通院(出費)を集中させればよいわけです。

 

いや、曜日が固定だから、そんなにうまくいかないよ、という方。
諦めずに、次もお読み下さい。

応用編:薬局だけでも翌月に回す

数年前になりますが、通院の翌日に調剤薬局へ行ったところ、月が変わってしまったということがあります。
話を分かりやすくするため、通院が10月、薬局へ行ったのが11月とします。

通常、処方箋の有効期限は発行日含め4日間ですから、月末に受診すればこういうことは十分起こり得ます。

しかし薬局の人はこういう事例を取り扱った経験がなかったようです。
「薬代は10月の診療に付随するものだから10月に計上するか?」
「それともカレンダーどおり11月に計上するか?」
と悩んでしまいました。

東京都の回答は?

ひとまず薬局を後にし、薬を待つ間に東京都福祉保健局の担当に電話してみたところ、「11月に入ってから薬局へ行ったのであれば、11月分です」とのこと。
即答でした。

後で調べてみたら、東京都のQ&Aにもしっかり載っていました。

医療機関の方から寄せされるよくある御質問と回答(東京都福祉保健局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/nanbyo/nk_shien/n_josei/shiteii_kikan/shiteikikan_oshirase/faq.files/QA0514.docx

Q1-5 病院・診療所が処方箋を前月の終わりに発行し、その月を超えて保険薬局に処方箋が持ち込まれた場合、自己負担上限額管理票はいつの月に記載すればよいか。
A1-5 レセプト請求の月と同じように実際に診察・処方や調剤を行った月に記載してください。具体的には、病院・診療所は、処方箋を発行した月に、保険薬局は、調剤を行った月に記載してください。

病院や薬局が「実際に診察・処方・調剤を行った月」に計上するというのが正しいルールということですね。

「わざと」月をまたぐと医療費が安くなる

ここまでお読みいただいていれば、薬代の節約方法がお分かりでしょう。

10月31日に病院を受診して、薬が処方されたとします。
この薬代を支払っても、10月の医療費は上限額に達しない見込みです。

こんなとき、11月になってから処方箋を薬局に持ち込むことで、薬代を11月分に回すことができます

これで、11月分の医療費が上限額を超える可能性が高まります

発展編:こんなときどうなる?

もっと別の節約方法がないか?と考えてみました。

しかし、東京都のQ&Aの内容から考えると、以下のような場合は、いずれも10月分として扱われるものと思います。

  1. 処方箋を10月31日の営業時間内に薬局に出したが、薬を引き取りに行った(薬代を払った)のが11月1日
  2. 10月31日に病院に電話して医師に病状を相談し、その診療費を支払ったのが11月(次回通院時)

これらは、意図的な医療費の繰り越しには使えなさそうです。

翌年の医療費まで安くなるかも?

以上のように、意図的に診察や調剤の月をずらす小細工をすると、その月の医療費が安くなるという短期的な効果があります。

が、もう一つ長期的な効果として、次回の医療券更新時にもプラスの効果をもたらす可能性があります

医療券はだいたい1年更新ですから、節約効果が1年間持続するわけです。
これは見逃せない!

 

なお、はじめにお断りしておきますが、この手法は主に難病医療費助成に使えるもので、自立支援医療(精神通院医療)でこの手法を使える方は、実際にはほとんどいないと思われます。

というのは、自立支援医療で高額な医療費が考慮されるのは、中間所得層1以上の所得層で、かつ「医療保険の多数該当」、つまり月に数万円以上の自己負担となる月が年4回以上あるという場合に限られるからです。
精神通院医療でこの自己負担額は、なかなかないのではないかと思います。

「高額かつ長期」は月1万オーバーが条件!

難病医療費助成の場合、自己負担額の上限は所得によって決まっているのですが、「高額かつ長期」に該当すると、その上限額が低くなります。
つまり重症患者は上限額が引き下げられるということです。

たとえば「一般所得I」という所得層であれば、通常の上限額が月1万円のところ、「高額かつ長期」だと月5千円に引き下げられます。
同様に、「一般所得II」であれば通常2万円のところ1万円に、「上位所得」なら通常3万円のところ2万円になります。

 

では、ここでいう「高額かつ長期」とは何でしょうか?

これは、月の医療費(健康保険等の適用前)が5万円超となることが年に6回以上ある場合を指します。
2割負担の場合、自己負担が(5万円×20%=)1万円を超える月が6ヶ月以上あれば該当することになります。

 

先ほどの小技で「自己負担1万円を超える月」を意図的に作り出せば、この「年6回」のクリアに近付くことができます

 

なお、「高額かつ長期」のほかに「軽症高額該当」という判断基準もあり、本来なら軽症のため助成対象にならないところ、医療費総額(10割)が33330円を超える月が年3回以上あれば、助成の対象になる場合があります。

詳しく説明しませんが、この「軽傷高額該当」にも、「医療費をある月にまとめる」という小技は同じように使えます。

毎月1回の通院も、意図的に月またがりにすれば…

たとえば、月に1回、難病で通院している患者さんを考えます。
治療や処方の内容は毎回同じで、診療費が2割負担で1回2500円、薬代が2割負担で1回4000円としましょう。

 

単純に考えると、1ヶ月あたりの医療費は2500+4000=6500円となります。
自己負担額が1万円を超える月がないので、「高額かつ長期」には該当しません

 

ところが、毎月の通院を意図的に月末にし、かつ、2ヶ月に1度、薬局へ行くのを翌月まで持ち越すとどうでしょう?

たとえば10月31日に通院し、11月1日に薬局へ。
次は11月30日に通院し、今度は11月30日のうちに薬局へ行くとします。

こうすると、10月の医療費は通院1回だけなので2500円、11月の医療費は通院1回+薬局2回なので2500+4000+4000=10500円。

11月は1万円を超えました!

これを毎月繰り返せば、1年間で自己負担1万円を超える月が6回となり、「高額かつ長期」認定です!

目先の自己負担も減る

もちろん、10・11月の自己負担額もトータルで減少します

上限額が1万円であれば、通常6500×2=13000円の自己負担となるところ、月またがりにすることにより、10月が2500円、11月が10000円で、計12500円。
500円の節約です。

これが上限額5000円の人だとさらに差が顕著です。
通常5000×2=10000円のところ、2500+5000=7500円で済みます。

 

ここまで毎回のように通院日をコントロールできるかというとやや疑問ですが(多くの場合、通院は曜日で決まっていますからね)、病気にもかかわらず、十分な思考力があるなら、チャレンジする価値はあると思います。

私たちの実例

最後に、これまで紹介した手法を我が家でどう使っているかご紹介します。

 

我が家の場合、通常はSLEの通院が2ヶ月に1回、双極性障害の通院が1ヶ月に1回です。

SLEに関しては、薬が2ヶ月分まとめて処方されるので高額になり、同じ月に双極性障害の通院があれば、医療費の自己負担額は何とか1万円を超えます。

 

ところが去る10月末、SLEの具合が悪くなり、次回の通院が3週間後となってしまいました。
処方される薬の量が減ったので、10月は1万円を超えない見込みとなりました。

そこで、処方箋を薬局に持ち込むのを11月1日まで待ちました。

この時点で、11月以降の通院計画はSLEの病状により流動的でしたが、10月に上限額1万円を超える見込みがない以上、10月末の薬代を11月に持ち越しても、かえって損をするということはありません

この考え方が重要です!
上限額は「超えてナンボ」です。超えない上限額は、ないのと一緒です。
上限額を超えないならば、その月にいくら医療費を支払っても還元はゼロです。

 

ということで、計画どおり11月1日に薬局へ行ったところ、薬剤師さんに
「昨日(処方箋を)お持ちいただければ10月分になったんですけどねー、申し訳ないです」
と言われましたが、内心「分かってないなー」と思いながら聞き流しました。

 

さて、その後どうなったかというと、SLEの調子がさらに悪化し、まさかの緊急入院となりました

以前の難病医療費助成制度では通院と入院で上限額が別カウントでしたが、今は通院と入院を通算しますので、11月は余裕で上限額をクリアです。

結果的に、10月末の通院に伴う薬代は実質タダとなりました

 

といっても、浮いた金額の数十倍の差額ベッド代がかかったわけですが……(泣)

まとめ:悪法も法、目には目を

以上、病院や薬局へ行く日をコントロールすることにより、受けられる医療費助成の額が大きく変わってくるという記事でした。

 

こんな小細工で医療費の自己負担額が変わってしまうというのは、制度に欠陥があるように思います。

上限額を月単位とし、月ごとに清算するという現状のやり方も、当座の出費を抑えられる等、メリットはあります。
上限額が「月1万円」ではなく「年12万円」だったら、12万円に達するまでの間は満額支払わないといけないわけですからね。

しかし1ヶ月単位という区切りは、通常の通院間隔からすると細かすぎます

「1ヶ月の上限1万円、1年の上限6万円」のように、支出がコンスタントな場合にも上限額による助成を受けられるような制度がより望ましいと、私たちは考えます。

 

が、現状は単純に1ヶ月単位ですから、仕方ありません。

ご紹介したように、特定の月に医療費を固め打ちすることで、自衛していきましょう。

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